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私たち、奈良先端科学技術大学院 大学 情報科学研究科 コンピューティングアーキテクチャ講座では、新しい計算・暗号・通信などの方式に注目されている量子情報処理に関して、情報科学の観点から幅広い研究を行っています。

「量子情報処理って何?」 という方も、 とっても面白い研究テーマなので、ぜひ以下を読んでみてください。この研究テーマは、大学院で研究するのにきっとお勧めのテーマだと思います。その理由は、以下の質問コーナーを読んでいただけるとわかると思います。

どんな些細なことでもご質問があれば、

山下 茂<ger(at)is.naist.jp>または、中西 正樹<m-naka(at)is.naist.jp>まで、

お気軽にメールください。(atは@に変更してください)

量子情報処理の研究についての質問コーナー

ご質問.量子コンピューティング・量子通信ってなんですか?

回答.ナノテクノロジー技術により量子状態を使って、超高速な計算や完全に安全な暗号通信などを行う方式です。まだ完全には実現していないのですが、小規模なものはすでに実現しており原理的にはナノ時代の物理と情報の融合領域として学際的にも注目されています。

ご質問.量子計算のどこがすごいの?

回答.では,摩訶不思議な計算の例をひとつ...電話帳から0743-72-5302という番号を探したいとします.従来の計算手法(古典計算と呼ぶ)ですと, 当たり前ですが,しらみつぶしに番号をチェックするしか方法がありません.N人載ってる電話帳ならNステップかかります...でも,量子計算を使う と...√Nステップで目的の番号を探し出すことができるのです! 載ってる人数より少ないステップ数で探し出すことができるのです! ほら,摩訶不思議ですよね.

ご質問.他にどんなことができるの?

回答. 量子情報処理は計算だけではありません.通信にも応用できるのです.量子状態というのは「コピーできない」「中身を読むと状態が壊れる」「読み方によって 異なる値になる」という性質を持っています...あ,なんのこっちゃわかりませんね...でも,なんとなくピンときませんか?...暗号通信に使えそうな雰囲気が伝わってきませんか?...そうです.量子通信を使うと,セキュリティの高い通信ができるのです.実際,無条件安全(どんな攻撃をされても安全. どんなに高速な計算機で攻撃されても安全.)な量子暗号プロトコルが存在します.またすでに実用的な暗号通信システムも実現されています。

ご質問.面白そうですね。でも私がこの研究をした場合、どんな良いことがあるのでしょうか?

回答.いくらでも列挙できますが、自分で勉強して幅広い分野から自由にテーマを設定できるので、社会にでてから最も必要となる問題発見・問題解決能力がつくと思います。そのためか就職も皆さんいいところに決まっていますよ(量子計算を研究していても、もちろん関係のない一流の企業に問題なく就職できます)。また、 こんな将来を見た夢のある研究は、一部の少数の企業の研究所を除いては、大学でしかできません。会社に入ってからでもできるようなことをするよりも会社に入ってからではできないようなことを学生時代にするほうが、どうせなら良くないですか?ちょっと友人に自慢できるし、話のネタにも結構いいと思いますよ。

ご質問.じゃ、早速勉強したくなってきました。どうやって勉強したらいいですか?

回答.一般的な情報はインターネットでも集められます。検索してみると結構注目されているのがわかりますよ。詳しい中身まで勉強するのは独学では難しいので、下記の2人までメールで相談ください。

ご質問.私は前提知識がないのですが、研究についていけるでしょうか?

回答.日本の大学の情報系の学部で研究している人はあまりいません。ですから、他のテーマと違って学部でやっていないことのディスアドバンテージはほとんどありません。あなたのやる気次第です。もちろん、情報と物理の境界領域の知識が必要なので、情報か物理の学部出身者は少しは有利かもしれませんが、基本的にみんな一から勉強するテーマです。実際、今までは全く前提知識がない学生さんも普通に勉強していれば立派な修士論文のレベルの研究をして修了しています。

ご質問.量子計算ってすぐにはできそうもないですが、そんな研究を今して意味があるのでしょうか?

回答.上でも回答したとおり、この研究を通して将来のあなたに大切な目先の知識ではない問題発見・解決能力が役立つ能力が身に付くはずです。また、今の計算機がその形さえなかったころから計算理論科学が研究されていてそれが今の計算機の利用の基礎となっているように、量子計算機ができる前から基礎的なことを研究することも大切だと思います。(量子計算機はすでに小規模なものは実現しているので原理的には将来のナノテクの発展で必ずできるはずです。また、量子通信の方はすでに実用的なシステムもできています。)今できていないからといって研究しない理由はないと思いますよ。

ご質問.この研究は、どんな人に向いていますか?

回答.例えば、以下のような人にはいいと思いますよ。

  • 大学院で普通と違った新しいことがしたい。知り合いに説明すると「何それ?」と驚かれる研究をしてみたい方。
  • 今は流行していないけど、将来はやるかもしれないことを研究してみたい。
  • 何か得体のしれない、まだ良くわかっていないことに挑戦したい人

研究グループのメンバ

教官 山下 茂 中西 正樹

D3 西山 寛之

M2 本間 知教

M1 平田 雄一 深坂 紘行

週1回程度の輪講で、各自が自分で研究テーマを見つけ、自由に研究をします。まったく事前知識がなくてもOKで、1年ほど勉強すれば、自分で研究テーマを見つけ、修士論文までの研究を行います。テーマは教官から押し付けられるのでなく、自由に決めるのが原則です。それでも(?)、昨年度の修了生は、修士論文の内容で国際会議に採録されるほど立派な研究を行っています。

外部研究機関との共同研究などを積極的に行っています。また、海外の研究者との交流も積極的に行っています。

共同研究先:

NTTコミュニケーション科学基礎研究所

産業技術総合研究所

国内の研究者との共著の実績:京都大、東工大、阪大、大阪府立大、JST(科学技術振興機構)など

海外の研究者との共著の実績:MIT、Waterloo大など

物理系の研究者との交流:

量子情報処理学講座 (NTT 物性基礎研究所)

物質創成科学研究科相原 正樹 教授

Activity:

量子計算

量子通信、量子暗号に関する研究 

量子計算機とは、量子的な状態をコントロールして計算を行うもので、まだ技術的には実用化されていないのですが、もしできたら今の計算機には時間がかかりすぎて到底できないようなことができるであろうということが知られてます。今の計算方式では、もうそろそろLSIの微細化が限界になると(さすがに原子よりはトランジスタを小さくできないでしょうね)いわれているので、そのくらいミクロな世界をコントロールできるようになれば、量子状態をつかって計算させようというのは、むしろ自然な発想かもしれませんね。また、たとえ高速にできなくても、現在の計算方式よりも消費電力の面でずっと効率的な計算システムができる可能性も秘めています。

そうです、今最も注目されている次世代の計算機構といっても過言ではありません。

私たちの研究室では、この量子計算に関して、その物理的な実現以外に関しては全般(つまりいわゆる計算機科学と呼ばれている分野で、その対象が普通のコンピュータでなく量子コンピュータを想定していると思ってください)理論的なことからシステム設計のようなことまで幅広くやりたいと考えています。 つまり、量子計算機向けに、今の計算機向けのコンパイラのようなものを考えてみたり、量子計算機向けのアルゴリズムの設計を考えたりするのです。具体的には、 以下のようなテーマです。 量子計算に関することなら、ありとあらゆるテーマを扱います。このような研究を通して、必然的に現在の計算機に関する知識も深まります。

  • 新たな量子アルゴリズムの考案
  • 量子計算モデルでの計算の複雑さの解析
  • 量子分散計算
  • 量子回路計算のための,設計言語,設計支援システムなどの開発
  • その他、なんでもあなた次第!! 「量子*」の*をあなたが見つけてください。 

新しいアイデアの研究で、あなたの名前を残すことも夢ではない分野です。

  次世代の暗号技術として量子暗号が注目されています.では,量子暗号とはいったいどのようなものなのでしょうか...
    特徴
  • 無条件安全性
    量子暗号はどうやっても破ることができません.現在使われている暗号は,そのほとんどが「時間をかければ解読できる」というものです.ただしその解読に10年,20年,あるいは100年以上かかるので安全だという議論になっています.(正確には,解読するのに鍵の長さに対して指数時間かかると予想されています.) しかし,量子暗号はどれだけ速い計算機をどれだけたくさん用意しても,原理的に絶対に破れないことが証明されています.

  • 盗聴者検出
    現在の暗号技術では「誰かが通信路を覗いている」かどうかを検出することは(あたりまえですが)不可能です.逆に言うと,覗かれても大丈夫なように暗号化をするわけです.しかし,量子暗号では「誰かが通信路を覗いている」ことを検出することが可能です.
これらの特徴を利用すると,暗号通信以外にも様々な応用が考えられます.
  • 電子データに封をする!
    データに封をしたい場合,普通は「データを印刷する(あるいはCD-Rに書き込む)」→「封筒に入れる」→「糊付けして封をする」という手順を取ります.データを盗み見るには封を破らなければなりません.このような「印刷物」や「CD-R」といった物理的な媒体に対して封筒という物理的な手段をもって封をすることは可能です.では,電子データに封をしたい場合はどうでしょう? 当然そんなことは不可能です.CD-Rに書き込まれたデータを誰かが盗み見てもそれを検出することはできません.しかし...量子通信プロトコルを使えば,電子データに封をすることが可能になります.量子暗号のところで述べた「盗聴者の検出」という特徴を利用することにより,通常では不可能な「電子データに対する封印」が可能になるのです.
我々の研究室では,このような量子暗号に関する研究を行っています.
    研究テーマ例
  • 量子暗号プロトコルの開発
  • 量子暗号を利用した高機能な量子通信プロトコル(電子データに対する封印等)
  • 無条件安全な通信プロトコル(量子認証等)